駄目人間は明日も

鬱病を持っている駄目人間が日々吐瀉する徒然エッセイ

反復の女

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わたしの知人に「反復の女」という異名を持っている女性がいます。命名したのはわたしで、わたししかその異名で呼んでいないようです。

 反復の女は、人生における殆どの問題について、その解決方法をただただ「反復する事」に求めている人類です。

 確かにある場面では、愚直な反復が問題解決の糸口になる事もありましょう。ともすれば、反復を怠った事が理由で発生する問題さえあるくらいだと思います。

 つまり反復そのものは、必ずしも愚策とはいえないと思うんですね。そりゃそれで異論ありません。

 しかし、ですよ。

 「如何なる状況下でも考えなしに無条件で選択すべき秘策」でも、またありません。当然ながら。単純な反復では解決出来ない問題は数多く存在していますしね。

 反復の女は、全ての問題は、反復によって解決可能だと信じて疑っていません。問題に直面した際には確実に「反復」を放ちます。

 彼女の過去に何があったのでしょうか。わたしの感覚に照らし合わせるなら、余程の出来事でもない限り、彼女のようにブレる事なく「反復」の効果を信じる事は出来ないように思います。

 言い換えるなら、そうまでして信じ切る事が出来る確信に出会えた経験そのものは、羨ましくさえ思うのです。

 ただし、反復による成果はわたしが見ている限り、思わしいものではないようです。もうやめたら?などと無責任な事は、わたしはいいません。彼女が信じるなら、彼女の生き方に他人であるわたしが口を挟むなど、全く無駄で迷惑な行為だと思います。

 わたしは彼女がどちらかというと好きです。だから、彼女には幸せになって欲しいし、出来るなら苦しい思いをする事なく過ごして欲しいと思っています。

 わたしは今日も彼女の「反復」を見守ります。非効率極まりないと思いながら。

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