駄目人間は明日も

鬱病を持っている駄目人間が日々吐瀉する徒然エッセイ

ミチコオノの残り香を思い出しながら書いてみる

わたしには数年前、オンラインでつながった縁があり、とあるアーティストと知り合う事がありました。

オノミチコさんというその方は、物語と絵を織り交ぜたブログを書いておられてました。

タイトルはごくシンプルに「ミチコ オノ日記」というもので、確かに一見中学生の女の子が日々の出来事をイラストと文章で日記として公開しているかのように見えました。

しかし違ったんです。

このブログは作品でした。

つまり書き綴られる出来事は創作で、イラストや写真は総て彼女の作品です。

わたしは文章にもタブローにも具体的な好みが割合にしっかりとあるタイプですが、何か惹かれるものがあり、この「ミチコ オノ日記」の読者となったんです。

わたしも当時、「駄目人間は今日も」という日記や「駄目人間逹 の Wall Of Death」という音楽に関するブログを書いていました。

彼女の日記に登場するのは、彼女の同級生や学校の先生で、日々の出来事が語られてきます。

そうして段々と、登場人物達についての描写が積み上げられて、個々人の「人間の深み」が見え始めます。

この日記は一見誰でも書けそうな平易さを纏いながら、その実巧みに構成された群像劇だったのです。

そうして早い段階で、この作品群の作者が中学生であるはずがない事は、伺い知る事が出来ました。

ご本人はしばらくは仮想の人格でいたかったのかもしれませんが、わたしも「もういいじゃん」と促してしまったんですね。

ミチコとはそれから、たくさんのテキストをやり取りさせていただきました。

やがて、「ミチコ オノ日記」は読者の方々が集まるコミュニティのような場所になっていきます。

わたしは自分からオンラインの交友関係を広げようとしていませんでしたが、ミチコを通じて何人かの知人・友人もできました。

それまで触れる機会のなかった世界に生きる人々との交流をわたしにもたらしてくれたんです。

基本的に人付き合いを得意としないわたしにとって戸惑う事もありましたが、いずれも有難い縁をいただき、とても嬉しい気持ちになりました。

色々の出来事を経て、「ミチコ オノ日記」はやがてクローズされることになりますが、わたしはこの作品を後々も多くの人が触れる事の出来るようにしたいという思いもあり、拙いwebの知識を使ってお手伝いさせていただきました。

そこには、作品としての文章以外にご本人の制作時の想いなどを追加しています。

michiko-ono-diary.hatenablog.com

 

その後ミチコは、noteというサービスに活動の拠点を移し、また違った味わいの作品を投稿していました。

わたしはその頃、著しく体調を悪くしてしまった事もあり、自分のブログも閉じて長くネットの世界に触れなくなりました。

精神的なダメージがわたしの課題でしたが、その原因はネットとは無関係のものです。

なんとかそれなりに回復したわたしは、当ブログをひっそりと書くようになりました。

そんなわたしを見つけてくださる以前のお友達もいてくださって、konma08さんはそんな有難いお友達の一人です。

そして彼から、最近ミチコが個展を開いているというニュースをいただきました。

twitter.com

ミチコ、8年ぶりに個展開いたんだね。

良かったね。

こういうエントリを書いておきながら、会期は今日までだそうです。

あいにく生息地域が離れすぎていてわたしは訪問できないのですが、遠い空からエールを送りたい気分です。

ここでひとつだけ自慢をしたいと思います。

実はわたし、ミチコにわがままを言って、彼女に描いて欲しい絵をせがんだことがあります。

そしてその絵を、以前のブログの看板に使っていました。

その絵がこれです。

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凄まじい熱量でしょ。

わたしの無茶なオーダーを快く引き受けてくれて、こんなにも密度の高い作品を描いてくれました。

この絵には、当時ミチコのブログを訪れていた人々の情報がちりばめられています。

あの頃を知っている人なら、誰かを探す絵本のような楽しみ方も出来るんじゃないでしょうか。

このカオスな世界観が今でもたまらなく大好きです。

ミチコはこの作品を描くにあたって、それぞれのキャラクタのコスチュームなどを何点か習作として描いていたので、この作品にまつわる周辺作品がいくつかあったのですが、それらを含めて全て、アナログ作品をわたしに送ってくれました。

今それらの作品は全てシンプルなフレームにいれて、わたしの部屋の一角に展示しています。

いわば、ミチコのミニギャラリーがわたしの部屋にはあるんです。

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わたしは毎日、この作品群を目にして生きています。

ミチコもわたしと少し似て、人とのつながり方が不得手な部分もあったように思うから、そういう部分で苦しんでいなければいいなと思っていたのですけども、自身の個展を開く事が出来る程度には元気でいる事が分かって、ほっとしました。

いつか、ミチコの作品を観にいけたらいいなと思います。

望みは薄いのですけどもね。

あそうそう最後に。

ミチコが男性である事は認識しています。

ですから、ミチコの事を勘違いしているのだという風にはどうか思われないでください。

ただわたしにとってミチコはミチコで、ミチコにとってサラはサラだ、というだけの事ですので。

そしてコンパチ兄さん、情報をいただいて本当にありがとうございました。

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